酸化エチレンガス滅菌

確実な滅菌法であるが毒性があることや発癌性,大気汚染の問題からその使用は最小限にすべきである。非耐熱性の滅菌に適しており,合成樹脂製品,内視鏡類が対象である。滅菌モニターとしては温度,湿度,EOG 濃度,時間が求められる。滅菌後には十分なエアレーションが必要であり,滅菌物に水があると加水分解して EOG濃度が低下する可能性や毒性のあるエチレングリコールの遺残する恐れがあるので,安全に対する注意が必要である。
EOG は,女性労働基準規則(女性則)として,妊娠や出産・授乳機能に影響のある化学物質の規制対象になっている。また,特定化学物質障害予防規則に従って作業主任者の選定が必要で,半年に 1 回以上の作業環境測定と作業従事者の健康診断が求められている。

酸化エチレン(別名:エチレンオキシド)
主な性状:無色気体,エーテル臭 人体への影響:蒸気を吸入すると,低濃度の場合は悪心・吐き気,高濃度の場合は目・皮膚・粘膜 を刺激する。
発ガン性有り
許容濃度:1 ppm(日本産業衛生学会) 保護具:有機ガス用防毒マスクまたは送気マスク,保護メガネ,保護手袋を使用する。
化学物質の危険・有害便覧(中央労働災害防止協会編)による

特定化学物質障害予防規則(特化則)
労働安全衛生規則,及び特定化学物質等障害予防規則の一部を改正する省令(エチレンオキシド追 加措置の件)は,労働安全衛生法に基づき,労働者の健康確保・労働環境悪化の防止を目的として制定され,2001(平成 13)年 5 月 1 日に省令施行されたものである。この規則は遵守すべき基準を,法的に表示したものである。

【酸化エチレンに対しての主な事項】
1)使用に関して密閉設備(構造)であること〔滅菌器,消毒器の重要性の再確認〕
2)管理濃度:1 ppm(= 10 分間以上の検出平均値による)〔安全値の再設定〕
3)作業主任者(管理者)の選任〔責任所在の明確化〕
4)作業記録の作成,保管〔実態の把握〕
5)作業環境測定(年 2 回の測定)30 年間の保存〔安全の確保〕
6)消毒器の定期的な自主点検〔装置の継続的安全使用〕
7)作業従事者の一般健康診断(年 2 回)〔健康維持管理〕
8)使用指定化学物質の掲示〔管理・取扱いの注意と徹底〕
9)『特定化学設備』に準拠した対応〔管理内容の明確化〕

引用元:日本手術医学会